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下谷の朝顔まつり (H28.7.7)


入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

東京・下町の夏の風物詩「入谷の朝顔まつり」は、毎年7月の6,7,8日の3日間に開かれます。

この朝顔まつりは、入谷鬼子母神を中心として60軒の朝顔業者と80軒の露店(縁日)が並び、毎年約40万人の人出で賑わいます。

今年で68年目を迎える歴史のあるイベントです。



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり


この入谷の朝顔が有名になったのは江戸末期の文化・文政の頃です。

最初は御徒町の下級武士、御徒目付の間で盛んに栽培されていましたが、御徒町の発展と江戸幕府の崩壊に伴い、入谷にいました十数件の植木屋が栽培するようになりました。

そしてその出来栄えが素晴らしかったので、明治中期になると、往来止めをしたり、木戸銭を取って見せるほど有名になりました。


入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

入谷の朝顔がこんなに盛んになったのは、入谷田圃の土が朝顔造りに適していたこともありますが、当時流行した朝顔は「変わり咲き」でした。

「変わり咲き」というのは、朝顔の花が、桔梗の花のように咲いたり、牡丹の花のように咲いたり、二重に咲いたりして、花粉の交配によって色々な花を咲かせました。

最盛期には1000種類もの朝顔があり、変化にとんだ花を咲かせて、楽しませてくれていました。



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり


もちろん現在のような丸い朝顔も江戸末期には大輪咲き朝顔とし盛んに栽培されていましたが、変化咲き朝顔の不思議な美しさが江戸の人々にブームを巻き起こしました。

当時の模様を下谷繁盛記(大正3年発行)には、「入谷の朝顔の全盛を極めたりしは、明治二十四・五年頃にして、その頃は、朝顔を造る植木屋十数件を数え、入谷の通りは、毎朝、往来止めとなる程なりし也。殊に、当時は、周囲一面の蓮田を廻らしたれば、涼しき朝風に吹かれ乍ら、朝顔を見又蓮の花を見るを得たり敷かば、観客頗る多く、非常の盛況を呈したり。」と記載されています


入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

また、明治20年7月5日の朝野新聞には、「府下にて朝顔の名所といえば誰も入谷たることを知る位なるが、同商も追々欧州植物培養の方法に倣い近年は頗る進歩し、昨年の出来に比較すれば、本年は余程の上出来にて、来る十五日より縦覧さする由なるが、本年は品数も数百種の多きに及び、頗る見事なるべしといえば、朝寝坊先生は早起きして此の美花を観玉へ。」とあるぐらい有名になりました。



入谷の朝顔まつり・おりひめ


しかしながら、入谷の朝顔も、世情が怪しくなってきた大正2年(1913年)の植松植木屋の廃業を最後に、入谷の地から姿を消してしまいます。

それに伴い変化朝顔もいつしか人々から忘れられて、現在のような円形の朝顔がその主流となります。


入谷の朝顔まつり・おりひめ



入谷鬼子母神



入谷鬼子母神

それから35年ほど経過した昭和23年(1948年)、戦後のすさんだ世の中を少しでも明るくしようということで朝顔市が復活しました。

昭和23年より朝顔を中心とした植木の市が7月6・7・8日に行われ、現在は朝顔のみを売る朝顔市(朝顔祭り)になりました。

しかし、7月上旬は、一般に朝顔の咲く時期ではないため、当初は大変苦労をしたようです。現在では、ビニールハウスの利用や栽培技術の発展により、毎年立派な朝顔を咲かせています。


入谷の朝顔まつりはその大部分が、言問通りに面した歩道上で行われています。

言問通りの車線1車線分と歩道の半分に、朝顔を並べた店が建ち並びます。
残りの幅1mほどの歩道を朝顔まつりに訪れたお客さんが歩くことになります。

しかも、それぞれの店の前で、お客さんが朝顔を購入するわけですから、歩道上は身動きできないほどの混雑となります。

朝顔まつりの期間は、言問通りが車両通行止めになる時間帯があります。


入谷鬼子母神



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

車両通行止めになりますと、朝顔市の歩道と露店の並んでいる歩道とが自由に行き来できますし、朝顔も車道に幅広く並べられます。

朝顔市は朝5時から開催されており、朝早く行くのが良いのですが、今年は所要があって12時過ぎに訪ねました。

この日は生憎都内も猛暑日、残念ながら朝顔も元気がありませんでした。



入谷の朝顔まつり


朝顔市では、売られる一方から、次々と朝顔が持ち込まれ、店は活気を呈しています。

朝顔まつりでもほおづき市と同様に若い売り子が大人気のようです。

朝顔まつりでは店に番号が付けられています。

販売した朝顔に責任を持つと共に、購入して帰った朝顔が良かった場合に、翌年も同じ店で購入できるための配慮のようです。


入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

朝顔

朝顔はヒルガオ科の一年草でツルは左巻きです。原産地は熱帯アジアか、西南中国からヒマラヤにかけての暖かい山麓地帯ではないかといわれています。

朝顔は、奈良時代に中国から遣唐使によって伝来したといわれています。当時はこの朝顔の種子が下剤用の漢方薬として使われていたようです。

薬として伝来してきた朝顔が、鑑賞用として栽培されるようになったのは江戸時代になってからです。



入谷の朝顔まつり


朝顔の種のことを中国名で牽牛子「ケンゴシ」または「ケニゴシ」といい、和名を阿佐加保と書き、のちに朝に咲く花であることから朝顔といわれるようになりました。

また朝顔はケンゴシの花ということで、別名を牽牛花(けんぎゅうか)ともいわれています。

牽牛花は、七夕の牽牛・淑女の、牽牛の花と書きますので、朝顔市は七夕の前後の3日間、7月6日〜8日に開催されるようになったとのことです。


入谷の朝顔まつり



入谷の朝顔まつり

アクセス

東京メトロ日比谷線入谷駅から徒歩2分


JR鶯谷駅南口から徒歩5分

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