散策スポット:中部

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上野原散策 (H28.11.17)


桂川



中央自動車道傍から



上野原駅からの階段

JR東日本の「駅からハイキング」のイベント「秋の上野原『紅葉』水辺の風景 文化と歴史探訪の旅」に参加しました。

サブタイトルは「紅葉に包まれた秋の上野原を舞台に、山梨県の東の玄関口として、また関東地方と中部地方の文化交流の要として発展を遂げた地域の文化と歴史に触れながら巡るコースです」です。


コースの概要は次のとおりです。

上野原駅上野原の大ケヤキ月見が池と保福寺山門と鐘楼大正館塚場一里塚(疱瘡神社)諏方番所跡石楯山展望台青苔寺等神社仏閣めぐり鶴島のムクノキ紅葉と桂川水辺の風景新田の津出し場跡・水運の鮒宿の佇まい上野原駅

コースの歩行距離は約12km、所要時間約5時間(施設での見学時間等を含む)です。

所要時間4時間15分、約1万8千歩でした。


上り階段の途中から



上野原の大ケヤキ



上野原の大ケヤキ

上野原駅から約30分で最初の散策スポット「上野原の大ケヤキ」です。

「上野原の大ケヤキ」は上野原小学校の前庭にあり、推定樹齢800年以上、高さ28m、目通り8.64m、根回り10.21mの巨木です。

昔、この辺りは急勾配の傾斜地で、けやきの傍に御岳神社が祭られていましたが、明治6年(1873年)、小学校建設時に整地されて主幹が数mあまり埋められました。そのため、現在聳えているのはそこから上の部分になります。

国指定天然記念物です。



保福寺


「上野原の大ケヤキ」から約3分で月見が池で、その奥に保福寺があります。

保福寺は別名、月見寺と呼ばれ、中里介山の小説「大菩薩峠」の中で「甲州上野原の報()福寺、これを月見寺と唱えるのは、月を見る趣が変わっているからです」と書かれたことに由来しています。


保福寺山門



保福寺鐘楼

保福寺の山門と鐘楼は、慶応元年(1865年)に信州の工匠により再建されたものです。



月見が池



月見が池


月見が池は山梨県で唯一農林水産省の「ため池百選」に選定されています。

このため池は、河川からの取水が困難な河岸段丘上の農地を潤すために、支流の鶴川から明治44年(1911年)延長8700mの上野原用水を整備して、昭和6年(1931年)に造成されたものです。


月見が池



月見が池

月見が池に祀られている弁財天の社は、正式には「江の島神社」と呼ばれ、月見が池が作られた1931年9月7日に町の安泰を祈願して勧請したもので、毎年7月に神社例祭が行われます。



大正館


「月見が池」から約10分で「大正館」です。

大正館は山梨県内で唯一残る大正時代の映画館で、大正13年(1924年)に建てられました。木造2階モルタル塗り、切妻造りで、円柱やアール型の壁を設けるなど洋風の外観にしています。

また北野武監督によるカンヌ国際映画祭第60回を記念した短編映画「素晴らしい日々」の撮影場所にもなりました。


大正館



牛倉神社



上野原名物酒饅頭

大正館から約2分で「牛倉神社」です。

牛倉神社の創建年月は不詳です。天王森の愛称で崇拝されています。

甲斐国志に永禄9年(1566年)に社殿再興の記録がある、歴史ある古い神社です。

毎年9月上旬の3日間は、須佐乃男命など、秋の実りをもたらしてくれる農耕の五神に感謝を捧げる祭りが開催されます。郡内三大祭りといわれ、数十基の神輿が町中を練り歩きます。


上野原市の名物の一つに「酒饅頭」があります。

かつて旧上野原町は、甲斐絹の里として江戸と甲州の商人で賑わいました。

甲州街道沿いに市が立ち、近隣の農家の人達が織り上げた甲斐絹が消費都市として名を成し始めていた江戸で盛んに取引されていました。

酒饅頭はこの市に集まった商人に愛され、味の良さはこの人たちによって広く宣伝されました。数軒ある酒饅頭屋は、先を争って買う客で長い行列ができたといわれています。

素朴な味はいつの時代にも好まれ、上野原市の名物として人気を博しており、「牛倉神社」付近の甲州街道沿いには現在も数軒の酒饅頭屋があります。


上野原名物酒饅頭



疱瘡神社

「牛倉神社」から約10分で、疱瘡神社と塚場一里塚跡です。

江戸時代の初め疱瘡神社と縁のある越後国湯尾峠生まれの老婆が、諸国遍歴の途中、この地で倒れ、村人の看護に感謝して「この地を疫病から護る、疱瘡(天然痘)の神を祀れ」と言い残して亡くなりました。

そこで湯尾峠から疱瘡の神を勧請して、萬治4年(1661年)3月、疱瘡神社を建立しました。


また、この神社の裏には塚場一里塚があります。

日本橋より18番目の一里塚で塚木はカヤでした。


一里塚



諏訪神社



諏訪神社

疱瘡神社から約10分で諏訪神社です。

諏訪神社は久安年間(1145年〜51年)の創建です。

武田信玄の小田原攻めの時、兵を休めた場所です。

諏訪番所の名前の由来となった神社で宝永4年(1707年)まで番所はこの付近に置かれていました。


諏訪神社から約5分で、諏訪関跡です。

諏訪関跡の名称は、諏訪番所、諏訪の関、境川の関ともいわれ、甲斐国、相模国の国境警備のために甲斐武田氏が築いた関所で、江戸期に入り幕府がそのまま利用したものです。

この諏訪番所は、取り締まりの厳しい小仏関所から近いために女人以外は通行手形を必要としないほど、警備が軽かったといわれています。


諏訪関跡



散策路からの光景



散策路からの光景



散策路からの光景 桂川



散策路からの光景 桂川

諏訪関所は高台に位置していることから、この付近からの景観は素晴らしいものがあります。

下に見えるのは湖の感じですが、相模湖に注ぐ桂川です。

坂道を下るにしたがい光景も変化します。



散策路からの光景 桂川



散策路からの光景 桂川


坂道を下って境川橋を渡ると神奈川県相模原市です。

境川橋から約30分で石楯山の展望台登り口ですが、登り口の手前に石楯尾神社があります。


桂川橋



石楯尾神社



石楯尾神社

石楯尾神社の創建は不詳です。

応神天皇の御幸所であったといわれている古社です。「名倉の権現さま」とも呼ばれています。

源頼朝は祈願所として御墨印75石余を寄進し、7つの大鳥居を立てたといわれています。

一説では、永禄12年(1569年)、武田信玄が小田原を攻めた際に社殿を悉く焼失、現在の社殿は亨保9年(1724年)再建されたといわれています。



石楯山展望台から



石楯山展望台から



石楯山展望台から


石楯尾神社から200mほど進んだ左手が石楯山に登る遊歩道です。

遊歩道で山頂まで約5分です。

山頂からは上野原市や相模原市を眺めることができます。

山頂に展望台があります。


石楯山展望台から



石楯山展望台から



石楯山展望台から



石楯山展望台

展望台から眺める景観はまさに絶景でした。

5月にはつつじが見事に咲き誇るとのことです。



散策路の光景



散策路の光景


展望台から遊歩道を降りて元の道に戻り、15分ほど緩やかな坂を下ると桂川の河畔になります。

この付近からも素晴らしい紅葉を眺めることができました。


散策路の光景



青苔寺



青苔寺



青苔寺

さらに10分ほど進むと、青苔寺(せいたいじ)です。

青苔寺は山号を飯盛山とする臨済宗南禅寺派の禅宗のお寺です。



青苔寺


鎮守は青苔寺の上に位置する神明社の明神大明神としています。

青苔寺では紅葉が見事でした。


青苔寺



神明社



神明社

青苔寺から5分ほどで神明社です。

神明社の創建由緒は不明です。

甲斐国志には記載されています。



鶴島のムクノキ

 

鶴島のムクノキ


神明社から15分ほどで鶴島のムクノキです。

推定樹齢700年、高さ23m、目通り6.3mで、山梨県指定天然記念物です。

落雷でできた大きな空洞には、昔、権化さまのご神体が祀られていました。

地上5mぐらいにできた「猿の腰掛」と呼ばれるコブ状の突起や、大蛇のようにうねる露出根が奇異な感を与えています。



桂川橋



桂川


鶴島のムクノキから10分ほどで桂川に出ます。桂川橋を渡った反対側が「桂川水辺の風景」です。

大正から昭和にかけて同人たちと幾度となく訪れた桂川、そこには与謝野鉄幹が名付けた龍門峡の仙峡や、晩年与謝野昌子が一人となり、最後の旅として訪れた依水荘など、上野原にはいくつものゆかりの場所があります。


桂川



上野原水辺の風景



上野原水辺の風景



上野原水辺の風景

桂川の水辺の風景を楽しみながら上流に向かって10分ほど歩くと「新田の津出し場跡」です。

厳島橋の少し下流は桂川と鶴川の合流地点で、幕末から明治にかけて、上流から流された木材を筏に組んだ土場や、石炭や木炭を船積みした岸辺もあったことが判明し、「新田の津出し場」と呼ばれていました。



新田の津出し場



新田の津出し場


「新田の津出し場跡」の岸の上に「水運の舟宿の佇まい」があります。

明治の水運の佇まいを残すこの家は、江戸時代から明治にかけて、桂川に高瀬舟が盛んに往来していた時期に、船員の宿泊や物資の保管をしていました。

船宿は鶴川の合流点付近に3軒ほどあり、ここまで高瀬舟が遡上し、舟を泊めさせていました。


鶴川



厳島橋

近郷から集められた貨物は、それらの宿の倉庫に保管され、翌日舟に積み込み、荷継場である沼本(道志川合流地)、厚木方面に向けて出帆して行きました。

今回は舟宿の写真はありません。

「水運の舟宿の佇まい」から10分ほどで上野原駅(ゴール)に到着です。


       風来坊


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