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十畝の間
百段階段の最初の部屋が十畝の間(じっぽのま)です。 螺鈿細工(らでんざいく)と花鳥画が調和する格式の高い部屋です。 欄間の下の長押、床の間の落掛、床框などに施された、この部屋の螺鈿細工は黒漆研ぎ出しというもので、漆地に研いだ貝殻を文様に切って張り、漆で塗り込めます。 それを木炭で一面に研ぎ貝の文様を現すか、小刀などで文様部分の漆膜を削り起こして仕上げをするという、大変手の込んだ細工になっています。
このように一部屋の長押すべてに漆螺鈿細工が施されているというのは、非常に珍しいものです。また。柱、鴨居、床脇、天井吹寄格縁に至るまで、夜光貝などの青貝の微塵粉塗仕上げがされ、その黒漆の落ち着いた美しさが重厚な印象を与えています。 さらに子型に組まれた天井は格天井といい、お客様を迎える広間などに使われる格子のある様式です。 各縁の組手には、金の金具と七宝焼きの装飾が施され、そのひとつひとつの格にはめ込まれた襖仕立ての鏡板には、荒木十畝の四季淡彩花鳥画が描かれています。
十畝の間(じっぽのま)には、西元祐貴の墨絵が展示されています。
漁樵の間
次が、漁樵の間(ぎょしょうのま) 尾竹竹坡、盛鳳嶺コンビの漁樵問答の床柱が圧巻です。 部屋に入るなり圧倒されるのは、空間を埋め尽くす彫刻の数々です。なかでも樹齢280〜300年、直径60cmの巨木に深く彫り込まれた極彩色の彫刻です。中国に伝わる「漁樵問答」をモチーフに、春と秋、海と山、立っている姿と座っている姿というように相対するものが描かれた、尾竹竹坡原画、盛鳳嶺彫刻による傑作です。
漁樵の間)
欄間・天井もこのコンビによる作品で、欄間は平安時代の貴族風俗になぞらえて、五節句を現したもの。正面は1月7日の人日、その両面が5月5日の端午の節句。さらに右は3月3日上巳の節句(桃の節句)。後ろの欄間が7月7の七夕で、左側が9月9日の重陽の節句です。 さらに障子も、上が曲線になっている、書院などによく見られる意匠の火灯窓というものです。障子の格子を、釘などを使わず、さまざまな角度で組み込むことで模様を作り出す日本伝統技術である組子が取り入れられています。
この部屋の飾りは青森ねぶたです。 迫力がありました。
草丘の間
次が、草丘の間(そうきゅうのま)です。 磯部草丘による四季山水画 現在は40畳敷きの大広間になっていますが、昔は奥の間と控えの間に分けられていて、奥の間の欄間には四季草花絵、控えの間には瑞雲に煙る松原の風景画が描かれています。 この2部屋が一つになったことで、残念ながら仕切りの部分の欄間にあった夏の絵がなくなってしまいましたが、風景画を得意とした草丘の画風を堪能することができます。
そして天井には15面の秋田杉に花鳥画が描かれています。また格縁も装飾を控えたシンプルな造りです。これは、絵を生かすことを優先したデザインなのではないかと考えられます。 四隅の柱は五寸角(約15cm角)の面皮柱になっています。面皮柱とは、角は丸のまま残し、四面に木目を出したもので、主に茶室に使われます。 少なくとも樹齢35年以上のものでなければ美しい木目が出ず、また一部屋をこの柱で構成するには同じ太さで真っ直ぐなものを揃えなければならないので、大変貴重な建築意匠となっています。
草丘の間には、妖怪絵師 満尾洋之助の「平成 百鬼夜行立体絵巻」が展示されています。 見たことのある妖怪が沢山います。
静水の間
4番目は、静水の間(せいすいのま) 小さい部屋ながら格天井や床の間が力強い造りに 池上秀畝、小山大月、長嶋華涯、橋本静水らの絵がひしめくなか、揮毫が一番多い橋本静六の名を取って「静六の間」と呼ばれています。 まず天井から見ていくと、奥の間の天井は今までの格天井とはまた一味違った造りで、格縁は秋田杉を吹寄せにし、扇面に池上秀畝の鳳凰・松が描かれています。いずれも吉祥画で、元は神殿の天井画だったもの。
控えの間の天井画は静水ほかの画家によるものになっています。 控えの間の床框に見られる桧のうるみ漆塗黒ぼかしは珍しい意匠とされています。 また、同じく控えの間の床天井及び床脇に天袋・地袋とも欅材で、見付(正面から見える部分)は梨地(果物の梨のようにぶつぶつとした表面の仕上げ)漆塗、地袋の天井は欅の春慶塗、奥の間の床框のうるみ漆塗、床脇の梨地漆塗など、凝った漆の仕上げが重厚な趣となっています。
静水の間には、刀や衣装デザイナー有伽さんの着物などが展示されています。 関連のホームページ 目黒雅叙園 目黒雅叙園 和のあかり その1へ 目黒雅叙園 和のあかり その3へ 風来坊