河口から海へ暫く進むと葛西沖に十三洲と称する好漁場がありました。当代島の住人高梨源八と西脇清吉は、いつものごとく日の出前に連れ立って漁場である、三枚洲に近付くと洲の上で黒い大魚が暴れていました。よく見ると噂に上っている鯨が浅瀬に取り残されていました。大格闘の末生け捕りに成功し、意気揚々と帰還しました。
村中が噂を聞いて大騒ぎとなり、老若男女が我先にと見物に来たそうです。当時の価格で200円也の値で売れ、大金を手中にした二人はすっかり有名になり、何処に行っても英雄扱いで仕事が手につかなくなりました。
こうした話題に終止符を打つために、神社末社に大鯨の碑を奉納し祀ったとのことです。
|