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サムエル・コッキング苑のチューリップ
湘南の冬は、晴れると春を思わせるぽっかぽかの陽気になります。 この時期、江の島の山頂にあるサムエル・コッキング苑には、2万本のチューリップが一斉に花を咲かせ、少し早めの春が届けられます。
例年は1月中旬頃から見頃を迎えます。 2015年は暖冬ということで、12月になってもなかなか寒くならず、10月や11月の陽気という日が続きました。 このため、江の島のチューリップの開花も随分早まったようです。 12月26日に江の島に行ったネットの友人から、「すでにチューリップが見頃を迎えています」との情報が届けられました。
このため、12月29日に吾妻山に菜の花を見に行った帰りに、立ち寄ることにしました。 現在咲いているのは、ウィンターチューリップです。 ウィンターチューリップは、普通の球根を春処理化した特別な球根です。 本来チューリップは、自然の冬の寒さを過ごすことで春に開花します。この特性を生かして、夏場から冷庫の中で球根に寒さを会わせ、春化処理を施すことにより冬に咲かせることができるのです。
ウィンターチューリップは見頃の時期が長くて、1ヶ月以上にわたり美しい花を見せてくれるのが特徴です。 サムエル・コッキング苑に到着すると、見頃のチューリップが出迎えてくれました。 サムエル・コッキング苑には2万本のチューリップが植えられています。 まだ蕾も多かったですが、サムエル・コッキング苑でチューリップのお世話をしている人に話を伺うと「気温が高くなると開花して花びらが散る花も出ており、例年見頃の2月までは持ちそうにありません。見頃は1月中旬までかと思われます。」とのことでした。
すでに年末の休暇に入っていたことから、季節外れの開花にもかかわらず、多くの人がチューリップを楽しんでいました。 例年のように、ゆっくりとチューリップを眺め、そして撮影することができませんでした。
イギリスの貿易商であるサムエル・コッキングは、明治2年(1869年)に来日、横浜にコッキング商会を設立しました。 後に日本人女性と結婚し、江の島頂上部に建築。私財を使って大庭園を造園したのが現在のサムエル・コッキング苑で、明治18年(1885年)の完成です。
苑内に現存する珍しい植物は、コッキングが持ち込んだものといわれています。 庭園は西洋の回遊式の様式を持ち込みながら東洋趣味を反映したもので、温室は東洋一の規模でした。 基礎はレンガ造りで、石炭による蒸気スチームで温める仕組みを持ち、当時は水道設備がなかったため雨水を貯めて利用する循環設計もされていました。
関東大震災で温室の上屋は全て倒壊してしまいましたが、レンガを主体とした基礎部分や地下に造られた施設が残っていました。 平成14年(2002年)のリニューアル工事の際に発見され、現在「サムエル・コッキング温室遺構」として保存公開されています。 特に、レンガ造りの温室遺構は現存する唯一のもので、文化遺産としても、土木技術の史料としても貴重なものです。
この時期、江の島では「湘南の宝石」と題するイベントが開催されます。 湘南の宝石は、江の島シーキャンドルライトアップ(イルミネーション)・江の島ウィンターチューリップ・バレンタインアイランド江の島(光のアート)の3つのイベントにより構成される、光と色のフェスティバルです。
イルミネーション自体の規模のみならず、その独自性と地域一体となった取り組みが評価され、2012年には関東三大イルミネーション、2013年には日本夜景遺産に認定されています。 湘南の美しい空とイルミネーションの光が生み出す、湘南の宝石ならではの空間を楽しむことができます。 また、この時期はチューリップのライトアップも行われます。
アクセス 江の島弁天橋まで 小田急片瀬江ノ島駅から徒歩5分 江ノ電江ノ島駅及び湘南モノレール湘南江の島から徒歩10分
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