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砂川口近くのシモバシラ
昭和記念公園にシモバシラを見に行ってきました。 今回見に行ったのは、地表に出来るシモバシラではなく、「シモバシラ」という草木の茎の根元に出来る氷柱です。
シモバシラは宿根性の多年草です。 高さ40〜70cm程度で、茎の断面は四角形をしています。 9月から10月頃に枝の上部の葉の脇に、片側だけにほぼ真横に向かって釣り鐘状の白い花が咲きます。
このシモバシラの生えていたところには、冬になると枯れた茎の根元に霜柱のような氷の結晶ができます。 このためシモバシラという名前が付けられたとのことです。 普通よく見かける地表に出来る霜柱とは別の現象です。
シモバシラの茎は冬になると枯れてしまいますが、地中にある根はその後も活動を続け、水を吸い上げて茎に送り続けます。 地上部の茎に送られた水は、普通はただの「水」ですが、外気温が氷点下になると水が凍って、茎から氷柱ができます。
茎が短く刈られていますのでシモバシラが上に伸びていません
氷の結晶ができるには、いくつかの条件があります。 気温が氷点下ぐらいにまで下がった早朝 気温が下がると、水は外気に触れて少しずつ凍っていきます。 風が弱い、または無風のとき 風が強いと水滴が吹き飛ばされて凍りにくい
雨や雪が降っていないとき 雨が降ると水が凍ることができない。また、雪が降ると雪の水分がかかってしまうため氷ができにくい。 前日の夜が曇りではなく晴れの方が良いとのことです。 これらの条件が揃うと、地上に吸い上げられた水分が茎からはみ出して「氷」となって現れます。
また、茎は冬にはそもそも枯れていますので、縦方向に裂けやすくなっています。 そうなると水は茎の上の方には登らなくなって、茎の裂け目から横に広がって凍るようになり、氷も左右に展開されたとても美しい姿になります。 まさに氷が造った芸術品といえます。
この現象は、地中の根が凍るまで続きます。 また、この「氷の結晶」の現象は、早朝見られたとしても10時頃には気温が上昇して全て溶けてしまうことになります。 ただし、陽の当たらない気温の低い場所では、日中も氷が溶けずに残ることがあります。
一度このシモバシラが出来ると茎の構造は壊れてしまうので、一つの茎から一年に一度だけシモバシラを咲かせることが出来るとのことです。 しかも、見事なシモバシラが出来るのは、初めての寒波で急激に冷え込んだときのようです。 したがって、昭和記念公園では、12月が見頃のようですが、気温が下がらないと結晶はできませんので、シモバシラのできる場所によって見頃の時期は異なります。
今年は最初の本格的な寒波が12月9日頃から来襲しました。 12月11日にネットの友人から素晴らしいシモバシラの画像が届けられました。 所要があっていつにしようかと迷っていたところ、13日に別の友人からも画像が届きました。 すでに見頃を迎えているようで、遅れてはまずいと思い、急遽14日に出かけました。
最初に訪ねたこもれびの丘入口は、例年になく数多くのシモバシラができており、立派なシモバシラもありました。 写真を撮っていると、昭和記念公園でシモバシラの観察をされている係員の方が、「砂川口近くのシモバシラが素晴らしいですよ。陽が当たるので早く行かれた方が良いですよ」と教えてくれました。
早速砂川口近くのサイクリングロード沿いの場所に行ったところ、見事なシモバシラができていました。 まさにシモバシラの群生といった感じで、大きいシモバシラは高さが20cm程度あります。 今年は遊歩道からシモバシラの群生地に入ることができるようになっており、間近でシモバシラの撮影ができました。
こもれびの丘入り口付近のシモバシラ
昭和記念公園の開門時間は9時30分ですから、晴天の日は溶けるのが心配ですが、この日は9時過ぎまで曇天ベースで幸いでした。 10時を過ぎると日射しが強くなり、10時30分頃からは溶け始めました。 11時過ぎにこもれびの丘入口に戻ったところ、この付近のシモバシラはすべて溶けてしまって姿形がありませんでした。 自然が作る薄い氷の結晶ですから、本当にあっという間に溶けてしまいます。
こもれびの丘北斜面にもシモバシラはできますが、今年は僅かしかできていませんでした。 この場所は斜面の中腹で寒すぎるため、シモバシラのできる条件「地上部は氷点下で、地下部は0℃以上と根の活動に十分な温度が保持されている」が満たされていないのかもしれません。 自然の中にできるシモバシラは、気象条件がなかなか厳しいようです。
アクセス 西立川口 JR青梅線西立川駅から徒歩2分 このほか立川口、昭島口、玉川上水口、砂川口があります。 関連するホームページ 昭和記念公園 風来坊